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  3. 銘板の種類と特徴を徹底解説!用途別選び方

2025.10.30

銘板の種類と特徴を徹底解説!用途別選び方

製品や機械に取り付ける銘板を選ぶとき、「どの種類を選べばいいのだろう」と迷った経験はありませんか。

銘板と一口に言っても、その種類は実に多様で、材質、製法、用途によって数十種類以上のバリエーションが存在します。

ステンレス製の重厚な銘板から、カラフルなプラスチック製銘板、精密なエッチング加工を施したものまで、それぞれに適した使用環境や目的があるのです。

間違った種類の銘板を選んでしまうと、すぐに劣化して読めなくなったり、必要以上にコストがかかったりする可能性があります。

製造業や設備管理に携わる方にとって、銘板の種類とその特徴を正しく理解することは、製品の品質管理とコスト最適化に直結する重要な知識といえるでしょう。

本記事では、銘板を「材質」「製法」「用途」という3つの視点から分類し、それぞれの特徴、メリット・デメリット、適した使用環境までを詳しく解説します。

この記事を読めば、あなたの製品や使用環境に最適な銘板の種類を自信を持って選べるようになるはずです。

それでは、まず材質・素材による銘板の種類から見ていきましょう。

材質・素材で分類する銘板の種類

銘板を選ぶ際に最初に考えるべきは、どのような材質で作られているかという点です。

材質によって耐久性、コスト、加工方法、デザインの自由度が大きく変わるため、使用環境と製品の特性に合わせた適切な材質選択が成功の鍵となります。

銘板の材質は大きく分けて、金属製と樹脂・プラスチック製の2つのカテゴリーに分類されます。

それぞれに複数の素材があり、各素材が持つ独自の特性を理解することで、最適な選択が可能になるのです。

ここでは、実務で最もよく使用される代表的な材質について、その特性と適した用途を詳しく解説していきます。

金属製銘板(アルミ/ステンレス/真鍮)

金属製銘板は、優れた耐久性と高級感のある外観から、産業機械や建築設備、高級製品など、幅広い分野で採用されています。

アルミニウム銘板は、金属製銘板の中で最も汎用的に使用されている種類です。

比重が約2.7g/cm³と軽量でありながら、十分な強度を持ち、加工性にも優れているため、コストパフォーマンスと機能性のバランスが優れている素材といえます。

アルミニウムの表面にアルマイト処理(陽極酸化処理)を施すことで、耐食性と表面硬度を大幅に向上させることができます。

アルマイト処理では、シルバー、ゴールド、ブラック、ブルー、レッドなど、多彩なカラーバリエーションを実現できるため、デザイン性を重視する製品にも適しています。

アルミ銘板の主な特徴は以下のとおりです。

  • 軽量で取り扱いやすい
  • 加工性が良く、複雑な形状にも対応可能
  • アルマイト処理により多色展開が可能
  • 屋内使用で10年以上の耐久性
  • 価格は中程度(ステンレスより安価)

アルミ銘板が適している用途としては、家電製品、事務機器、電子機器、軽量化が求められる製品、デザイン性を重視する製品などが挙げられます。

ただし、海岸地域や化学工場など、腐食性の高い環境では劣化が早まる可能性があるため、注意が必要です。

ステンレス銘板は、金属製銘板の中で最も耐久性に優れた種類です。

クロムを含む合金鋼であるステンレスは、表面に形成される不動態皮膜により、優れた耐食性を発揮します。

代表的なグレードであるSUS304は、一般的な環境で優れた性能を発揮し、屋外で20年以上の耐久性を持つことも珍しくありません。

より過酷な環境には、モリブデンを添加したSUS316やSUS316Lが使用され、海水や化学薬品に対する耐性がさらに高められています。

ステンレス銘板の主な特徴は以下のとおりです。

  • 極めて高い耐食性と耐候性
  • 高温環境(200℃以上)でも使用可能
  • 重厚感と高級感のある外観
  • メンテナンスフリーで長期使用可能
  • 価格は高め(アルミの1.5〜2倍程度)

ステンレス銘板が適している用途は、屋外設備、産業機械、電力設備、化学プラント、食品加工機械、医療機器、船舶、高級製品など、長期耐久性と信頼性が求められる分野です。

特に、法規制で長期間の表示が義務付けられている製品や、交換が困難な場所に設置される銘板には、ステンレスが推奨されます。

真鍮銘板は、銅と亜鉛の合金である真鍮を使用した銘板で、美しい金色の光沢が特徴です。

真鍮は古くから装飾品や楽器、建築金物などに使用されてきた歴史ある素材で、独特の高級感と温かみのある雰囲気を醸し出します。

経年変化により独特の風合いが生まれることも、真鍮の魅力の一つです。

真鍮銘板の主な特徴は以下のとおりです。

  • 美しい金色の光沢と高級感
  • 経年変化による味わい深い風合い
  • 加工性が良く、精密な彫刻が可能
  • 抗菌性を持つ(銅イオンの効果)
  • 価格は高め(ステンレスと同等以上)

真鍮銘板が適している用途は、高級家具、楽器、記念プレート、伝統工芸品、ブランド品、高級建築物など、ブランド価値や装飾性を重視する製品です。

ただし、真鍮は空気中の硫黄分や塩分により変色しやすいため、定期的なメンテナンスが必要になる場合があります。

金属製銘板全体の比較表は以下のとおりです。

素材 耐久性 コスト 重量 主な用途
アルミニウム 中〜高 軽い 家電、事務機器、一般製品
ステンレス 極めて高 やや重い 屋外設備、産業機械、高信頼性製品
真鍮 重い 高級品、装飾品、記念品

樹脂・プラスチック製銘板(アクリル/ポリカーボネート/PVC)

樹脂・プラスチック製銘板は、金属製に比べて軽量で、カラフルなデザイン表現が可能という特徴を持っています。

近年の樹脂技術の進歩により、耐久性も向上しており、コストと機能性のバランスを重視する用途で広く採用されるようになりました。

アクリル銘板は、透明性が高く、美しい光沢を持つプラスチック素材です。

正式名称はポリメタクリル酸メチル(PMMA)で、ガラスのような透明感がありながら、ガラスよりも軽量で割れにくいという優れた特性を持っています。

表面硬度も比較的高く、傷がつきにくいため、見た目の美しさを長期間保つことができます。

アクリル銘板の主な特徴は以下のとおりです。

  • 高い透明性とガラスのような光沢
  • 着色が容易でカラーバリエーション豊富
  • 加工性が良く、複雑な形状にも対応可能
  • 屋内使用で5〜10年の耐久性
  • 価格は比較的安価

アクリル銘板が適している用途は、店舗の案内表示、オフィスの室名札、展示品の説明プレート、装飾性の高い製品、透明感を活かしたデザインなどです。

ただし、アクリルは傷がつきやすい面もあるため、頻繁に人が触れる場所や、清掃時にブラシが当たる場所では注意が必要です。

また、耐熱性は約80℃までと限られているため、高温環境には適していません。

ポリカーボネート銘板は、エンジニアリングプラスチックとして知られる高性能樹脂を使用した銘板です。

ポリカーボネートは、プラスチックの中で最も高い耐衝撃性を持ち、アクリルの約30倍、ガラスの約250倍の衝撃強度を誇ります。

この優れた耐衝撃性により、過酷な環境下でも使用できる信頼性の高い銘板となっています。

ポリカーボネート銘板の主な特徴は以下のとおりです。

  • 極めて高い耐衝撃性(割れにくい)
  • 耐熱性が高い(120℃程度まで使用可能)
  • 難燃性を持つ(自己消火性)
  • 透明性も良好(アクリルより若干劣る)
  • 価格は中程度(アクリルより高価)

ポリカーボネート銘板が適している用途は、産業機械、電気機器、自動車部品、屋外機器、衝撃が予想される環境、高温環境(80〜120℃)などです。

特に、安全性が重視される用途では、割れにくいポリカーボネートが優先的に選択されます。

ただし、ポリカーボネートは紫外線によって劣化しやすいという弱点があるため、屋外で長期使用する場合はUVカット処理を施した製品を選ぶ必要があります。

**PVC銘板(塩化ビニル銘板)**は、柔軟性と加工性に優れた樹脂素材を使用した銘板です。

PVC(ポリ塩化ビニル)は、配管材料や電線被覆、床材など、幅広い用途で使用されている汎用性の高いプラスチックです。

硬質PVCと軟質PVCがあり、銘板には主に硬質PVCが使用されます。

PVC銘板の主な特徴は以下のとおりです。

  • 優れた耐候性と耐薬品性
  • 柔軟性があり、曲面にも貼りやすい
  • 印刷適性が良く、鮮明な発色が可能
  • 屋外使用で3〜5年程度の耐久性
  • 価格は安価

PVC銘板が適している用途は、一時的な表示、イベント用サイン、屋外広告、曲面への貼り付けが必要な場所、コストを抑えたい用途などです。

金属やポリカーボネートほどの長期耐久性は期待できませんが、短期〜中期的な使用であれば十分な性能を発揮します。

その他の樹脂素材としては、ABS樹脂、PET樹脂なども銘板に使用されることがあります。

ABS樹脂は成形性に優れ、複雑な立体形状の銘板製作に適しています。

PET樹脂は透明性と寸法安定性に優れ、精密な印刷が必要な用途に使用されます。

樹脂・プラスチック製銘板全体の比較表は以下のとおりです。

素材 耐衝撃性 透明性 耐熱性 主な用途
アクリル 極めて高い 低(〜80℃) 装飾品、案内表示、展示品
ポリカーボネート 極めて高い 高い 高(〜120℃) 産業機械、電気機器、自動車
PVC 低〜中 低〜中 中(〜60℃) 一時表示、イベント、屋外広告

製法・加工方法で分類する銘板の種類

銘板の品質と外観を決定づける重要な要素が、製法・加工方法です。

同じ材質の銘板でも、どのような加工方法を用いるかによって、仕上がりの美しさ、耐久性、コスト、納期が大きく変わります。

製法は大きく分けて、材料を削ったり腐食させたりして凹凸を作る「彫刻系」と、表面にインクを転写する「印刷系」の2つに分類されます。

それぞれの製法には独自の特徴があり、表示内容や使用環境、求められる品質レベルに応じて最適な方法を選択することが重要です。

ここでは、実務で広く使用されている代表的な製法について、その仕組みと特徴を詳しく解説します。

エッチング・アルマイト・彫刻銘板

エッチング銘板は、化学薬品を使って金属表面を腐食させ、文字や図柄を彫り込む製法で作られる銘板です。

金属表面に耐酸性の保護膜(レジスト)を形成し、必要な部分のみレジストを除去してから酸性またはアルカリ性の薬品に浸すことで、露出した部分が腐食されて凹部が形成される仕組みです。

エッチング銘板の最大の特徴は、極めて精密で美しい仕上がりが得られることです。

線幅0.1mm程度の細かい文字や図柄も再現可能で、複雑なロゴマークや細密な回路図なども鮮明に表示できます。

また、腐食によって形成された文字は半永久的に残るため、印刷のように退色する心配がありません。

エッチング銘板の主な特徴は以下のとおりです。

  • 精密で美しい仕上がり
  • 退色の心配がない(彫刻された部分)
  • 複雑なデザインにも対応可能
  • 量産に適している(版を使用するため)
  • 製作期間は2〜3週間程度

エッチング銘板には、単色エッチングと多色エッチングがあります。

単色エッチングは、彫刻した凹部に単色のインクを充填する方法で、シンプルで視認性の高い表示に適しています。

多色エッチングは、複数回のエッチング工程と塗装工程を経て、複雑なカラー表現を実現する高度な技術です。

エッチング銘板が適している用途は、高精度が求められる計測機器、電子機器、高級製品、ブランド品、長期使用が前提の産業機械などです。

アルマイト銘板は、アルミニウム素材に陽極酸化処理(アルマイト処理)を施した銘板です。

アルマイト処理では、アルミニウムを電解液中で陽極として電気分解することで、表面に酸化アルミニウムの多孔質な皮膜を形成します。

この皮膜は元のアルミニウム表面よりも硬く、耐食性にも優れているため、アルミニウムの弱点を補強する効果があります。

アルマイト処理の工程中または後に染色を行うことで、シルバー、ゴールド、ブラック、ブルー、レッド、グリーンなど、多彩なカラーバリエーションを実現できます。

文字や図柄の表現方法としては、マスキングとエッチングを組み合わせる方法が一般的です。

アルマイト銘板の主な特徴は以下のとおりです。

  • 豊富なカラーバリエーション
  • 高い表面硬度(鉛筆硬度2H〜3H程度)
  • 優れた耐食性と耐候性
  • 軽量で扱いやすい
  • 美しい金属質感とデザイン性

アルマイト銘板は、家電製品、オーディオ機器、カメラ、精密機器、デザイン性を重視する製品など、美観と耐久性の両立が求められる用途に最適です。

特に、製品の高級感を演出したい場合や、企業のブランドカラーを銘板に反映させたい場合に効果的です。

彫刻銘板は、機械や工具を使って直接材料を削り取り、文字や図柄を立体的に表現する製法で作られる銘板です。

彫刻方法には、回転する刃物で削り取る「切削彫刻」と、レーザー光線で材料を蒸発・変色させる「レーザー彫刻」の2種類があります。

切削彫刻は、NC制御されたルーターやエンドミルを使用し、プログラムに従って正確に文字や図柄を彫り込みます。

深い彫刻が可能で、立体感のある力強い表現ができるのが特徴です。

彫刻した凹部に塗料を充填することで、視認性を高めることもできます。

レーザー彫刻は、高出力のレーザー光線を照射して材料表面を局所的に蒸発または変色させる方法です。

非接触加工のため、材料に機械的なストレスを与えず、極めて精密な加工が可能です。

金属だけでなく、プラスチック、木材、皮革など、多様な材料に対応できる汎用性の高さも魅力です。

彫刻銘板の主な特徴は以下のとおりです。

  • 立体感のある力強い表現
  • 材料と一体化した表示(剥がれない)
  • 退色の心配がない
  • 小ロットや一品ものに対応しやすい
  • 製作期間は比較的短い(数日〜1週間程度)

彫刻銘板が適している用途は、記念プレート、表彰盾、トロフィー、高級家具、工芸品、オーダーメイド製品、試作品などです。

また、製造番号やシリアルナンバーなど、1枚ごとに異なる内容を彫刻する用途にも適しています。

印刷・スクリーン・インクジェット銘板

印刷銘板は、材料表面にインクを転写して文字や図柄を表現する製法で作られる銘板です。

彫刻系の製法に比べて、フルカラーの写真やグラデーション、複雑なグラフィックをより鮮明に、かつ低コストで表現できるという大きな利点があります。

印刷銘板にはいくつかの印刷方式があり、それぞれに特徴があります。

スクリーン印刷銘板は、メッシュ状のスクリーン版を使用してインクを転写する方法で作られる銘板です。

スクリーン版の開口部を通してインクが素材に転写される仕組みで、インク層が厚く、発色が鮮やかで視認性に優れるという特徴があります。

スクリーン印刷の最大の利点は、耐久性の高い特殊インクを使用できることです。

UVカットインク、耐候性インク、耐薬品性インクなど、用途に応じた機能性インクを選択することで、屋外や過酷な環境でも長期間使用できる銘板を製作できます。

また、インクを重ね塗りすることで、立体感のある表現や、メタリックな質感も実現可能です。

スクリーン印刷銘板の主な特徴は以下のとおりです。

  • 鮮やかな発色と高い視認性
  • 厚盛り印刷による立体感
  • 耐久性の高いインクが使用可能
  • 量産に適している(版を使用するため)
  • 特殊インク(蓄光、反射など)にも対応

スクリーン印刷銘板が適している用途は、屋外機器、産業機械、警告表示、操作パネル、車両用銘板など、高い耐久性と視認性が求められる用途です。

また、企業ロゴや製品名など、同じデザインを大量に生産する場合にもコストメリットがあります。

インクジェット印刷銘板は、インクジェットプリンターを使用して、デジタルデータから直接銘板に印刷する方法で作られます。

版を必要としないため、小ロットや1枚からの製作が可能で、納期も短いという大きな利点があります。

従来のインクジェット印刷は耐久性に課題がありましたが、近年ではUVインクジェット印刷やラテックスインクジェット印刷など、耐久性に優れた技術が登場しています。

UVインクジェット印刷は、紫外線で瞬時に硬化するUVインクを使用することで、高い密着性と耐久性を実現します。

ラテックスインクジェット印刷は、水性ラテックスインクを使用し、環境に優しく、かつ優れた耐候性を持つ印刷方法です。

インクジェット印刷銘板の主な特徴は以下のとおりです。

  • 版が不要で小ロット対応が可能
  • フルカラー印刷が容易
  • 写真品質の高精細な表現
  • 短納期(数日以内も可能)
  • デザイン変更が容易

インクジェット印刷銘板が適している用途は、試作品、少量生産品、頻繁にデザインが変わる製品、個別番号を印刷する必要がある用途、短納期が求められる案件などです。

また、写真やグラデーションを含む複雑なデザインの銘板製作にも最適です。

その他の印刷方法としては、パッド印刷やホットスタンプなども銘板製作に使用されます。

パッド印刷は、シリコンゴム製のパッドを使ってインクを転写する方法で、曲面や凹凸のある面にも印刷できるという特徴があります。

ホットスタンプは、熱と圧力で金属箔や顔料箔を転写する方法で、金色や銀色の高級感のある表現が可能です。

印刷系銘板全体の比較表は以下のとおりです。

印刷方法 小ロット対応 フルカラー 耐久性 主な用途
スクリーン印刷 △(版が必要) 極めて高い 屋外機器、産業機械、量産品
インクジェット印刷 ◎(1枚から可) 中〜高 試作品、少量品、短納期案件
パッド印刷 曲面、凹凸面、小型製品

用途・機能で分類する銘板の種類

銘板は、その使用目的や果たすべき機能によっても分類することができます。

製品の識別情報を表示するのか、警告や注意を喚起するのか、操作方法を案内するのかによって、求められるデザイン、視認性、耐久性の要件が異なるのです。

用途に応じた適切な銘板を選択することで、情報伝達の効果を最大化し、製品の安全性や使いやすさを向上させることができます。

ここでは、銘板の代表的な用途と、それぞれに適した銘板の種類について詳しく解説します。

機械識別・定格仕様表示用銘板

機械識別・定格仕様表示用の銘板は、製品や機械の基本情報を表示するための銘板で、最も一般的かつ重要な種類です。

これらの銘板には、メーカー名、型番、製造番号、製造年月日、定格電圧、定格電流、定格出力、使用条件などの技術情報が記載されます。

この種類の銘板に求められる最も重要な特性は、長期間にわたって情報を確実に保持し続けることです。

製品のライフサイクル全体を通じて、いつでも正確な情報を確認できることが求められるため、高い耐久性が必須となります。

材質としては、ステンレス製やアルミニウム製の金属銘板が最も一般的です。

特に屋外で使用される産業機械や電力設備では、20年以上の耐久性を持つステンレス製銘板が標準的に採用されています。

製法としては、エッチング銘板や彫刻銘板が適しています。

これらの方法で作られた銘板は、文字や数字が材料に彫り込まれているため、インクの退色を心配する必要がありません。

また、表面が汚れても、文字の凹凸が残っているため判読可能です。

定格仕様表示用銘板のデザインでは、視認性が重視されます。

文字サイズは、想定される視認距離に応じて適切に設定する必要があります。

JIS規格では、視認性を考慮した最小文字サイズが規定されており、一般的には高さ3mm以上の文字サイズが推奨されています。

また、背景色と文字色のコントラストを十分に確保することも重要です。

黒地に白文字、または銀地に黒文字といった高コントラストの組み合わせが、最も視認性に優れています。

機械識別・定格仕様表示用銘板の具体的な使用例は以下のとおりです。

  • 産業機械の仕様銘板(工作機械、プレス機、成形機など)
  • 電気機器の定格銘板(変圧器、配電盤、モーターなど)
  • 空調設備の仕様銘板(エアコン、ボイラー、冷凍機など)
  • 建設機械の識別銘板(クレーン、フォークリフト、ショベルカーなど)
  • 自動車の車台番号銘板(VINプレート)

これらの銘板は、保守点検時の部品交換、安全管理、トレーサビリティの確保、法規制への対応など、製品管理の基盤となる重要な役割を担っています。

取り付け方法としては、ネジ止めやリベット留めなど、確実に固定できる方法が選択されます。

これは、振動や衝撃によって銘板が脱落することを防ぐためです。

また、改ざん防止の観点からも、容易に取り外せない取り付け方法が推奨されます。

近年では、バーコードやQRコードを銘板に併記するケースが増えています。

これにより、デジタル情報との連携が可能になり、詳細な製品情報、取扱説明書、保守履歴などにスマートフォンやタブレットから簡単にアクセスできるようになっています。

警告・操作説明・案内表示用銘板

警告・操作説明・案内表示用の銘板は、安全確保や適切な操作のための情報を提供する銘板で、ユーザーの安全と製品の正しい使用を支える重要な種類です。

これらの銘板には、危険警告、注意喚起、操作手順、禁止事項、推奨事項などが記載されます。

この種類の銘板に求められる最も重要な特性は、瞬時に内容を認識でき、確実に情報を伝達できることです。

そのため、デザインや配色、記号の使用などに特別な配慮が必要となります。

警告銘板では、危険度に応じた統一された表示方法が採用されます。

ISO 3864やJIS S 0101などの国際規格・国内規格では、警告レベルに応じた信号語と配色が規定されています。

  • 「危険(DANGER)」:赤色 – 回避しないと死亡または重傷を負う危険性が高い
  • 「警告(WARNING)」:オレンジ色 – 回避しないと死亡または重傷を負う可能性がある
  • 「注意(CAUTION)」:黄色 – 回避しないと軽傷または中程度の傷害を負う可能性がある

これらの配色規則に従うことで、ユーザーが直感的に危険度を認識できるようになります。

材質としては、視認性を重視して、フルカラー印刷が可能なプラスチック製銘板やアルミニウム銘板が多く使用されます。

特に、警告内容を目立たせるために、蛍光色や反射材を使用することもあります。

製法としては、スクリーン印刷やインクジェット印刷が適しています。

複雑なグラフィックや複数の色を使用できるため、分かりやすく、注意を引くデザインを実現できます。

また、屋外で使用される警告銘板には、耐候性インクを使用したスクリーン印刷が推奨されます。

操作説明用銘板では、操作手順を分かりやすく伝えることが重要です。

文字だけでなく、図やピクトグラム(絵文字)を効果的に使用することで、言語に依存しない直感的な理解が可能になります。

特に、国際的に流通する製品では、複数言語での表示や、ISO 7000で規定されている標準化されたピクトグラムの使用が推奨されます。

案内表示用銘板は、建物や施設内での誘導や情報提供のために使用されます。

室名札、フロア案内、避難経路表示、設備位置表示などがこれに該当します。

案内表示用銘板では、統一されたデザインシステムによる一貫性が重要です。

同じ建物や施設内では、同じ書体、同じ配色、同じレイアウトルールを使用することで、視覚的な統一感が生まれ、情報の認識性が向上します。

材質としては、アクリル製やアルミニウム製が一般的です。

特にオフィスや商業施設では、デザイン性と高級感を両立できる透明アクリルや金属調の仕上げが好まれます。

警告・操作説明・案内表示用銘板の具体的な使用例は以下のとおりです。

  • 産業機械の警告銘板(「高温注意」「回転部危険」など)
  • 電気設備の警告銘板(「高圧危険」「感電注意」など)
  • 操作パネルの操作説明銘板(ボタンの機能、操作手順など)
  • 建物の避難経路表示銘板(非常口、避難方向など)
  • オフィスの室名札・フロア案内銘板

近年の傾向として、多言語対応の銘板が増えています。

特に、日本語、英語、中国語などの主要言語を併記することで、外国人労働者や観光客にも理解できる表示を実現しています。

また、色覚異常のある人にも配慮したユニバーサルデザインの考え方も重要です。

色だけに頼らず、形状や記号、明度差などを組み合わせることで、より多くの人が確実に情報を認識できるようになります。

蓄光材料や反射材料を使用した銘板も、特殊な用途で使用されます。

停電時でも視認できる避難誘導銘板や、夜間でも光を反射して視認できる屋外案内銘板など、状況に応じた特殊機能を持つ銘板も選択肢の一つです。

まとめ

銘板の種類は、材質、製法、用途という3つの観点から体系的に分類することができます。

材質の観点では、金属製銘板(アルミニウム、ステンレス、真鍮)と樹脂・プラスチック製銘板(アクリル、ポリカーボネート、PVC)に大別されます。

金属製は耐久性と高級感に優れ、樹脂製は軽量性とデザインの自由度に優れており、使用環境と製品の特性に応じた選択が重要です。

製法の観点では、エッチング、アルマイト、彫刻といった彫刻系の製法と、スクリーン印刷、インクジェット印刷といった印刷系の製法があります。

彫刻系は精密で退色のない表示が可能で、印刷系はフルカラーの複雑なデザインを低コストで実現でき、表示内容と生産数量に応じた選択が求められます。

用途の観点では、機械識別・定格仕様表示用と、警告・操作説明・案内表示用に分類されます。

前者は長期耐久性と情報の確実性が重視され、後者は視認性と情報伝達の即時性が重視されるため、それぞれに適した材質・製法の組み合わせがあります。

銘板を選定する際には、これら3つの観点を総合的に判断することが成功の鍵となります。

屋外で20年以上使用する産業機械にはステンレス製のエッチング銘板を、デザイン性を重視する家電製品にはアルミニウム製のアルマイト銘板を、小ロットの試作品にはポリカーボネート製のインクジェット印刷銘板を、といったように、用途に最適な組み合わせを選択することが重要です。

また、初期コストだけでなく、耐久年数を考慮したライフサイクルコストで評価することも忘れてはなりません。

高価なステンレス銘板でも、20年間交換不要であれば、結果的に最も経済的な選択となる場合が多いのです。

この記事で解説した銘板の種類と特徴に関する知識を活用して、あなたの製品や用途に最適な銘板を選択してください。

適切な銘板の選択は、製品の品質向上、安全性の確保、ブランド価値の向上、そして長期的なコスト削減につながります。

銘板は小さな部品かもしれませんが、製品全体の信頼性と価値を支える重要な要素であることを、ぜひ心に留めておいてください。

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